2023年度のアジア・アフリカ都市計画研究発表会(The 19th Conference of Asian and African City Planning)が、2023年12月17日(日)に豊橋技術科学大学サテライトオフィスにて対面とオンラインを組み合わせたハイブリッド形式で開催されました。
本会は、アジアやアフリカの地域をはじめとするグローバルサウスや日本の都市・地域を対象にした研究の成果報告ならびにディスカッションを通じた研究・情報交流を目的としています。今回で19回目を迎え、第1回目が開催された2003年から昨年まで委員長を務めた元東京大学の城所哲夫氏に代わり、名城大学の福島茂氏が委員長に就任しました。新しい委員長のもと、産官学の5名のメンバーが加わり、新体制での開催となりました。投稿論文や研究発表は全て英語で行われ、学生や実務家に英語での研究発表の機会を創出し、国境を越えた研究交流が期待されています。
研究発表会の前日には、プレイベントとして、日本三大稲荷のひとつとして知られている豊川稲荷と周辺の門前町を散策しました。境内には、歴史を感じる建物が見られ、1000体の狐の石像が並ぶ霊狐塚は壮観でした。地域の風土に育まれた豊川地域を堪能できるフィールドワークとなりました。
本年度は、中国やインド、タイなどのアジア地域をフィールドとした研究が多く、日本の大学に在籍する留学生を中心に多岐にわたる研究発表がなされました。(アジア地域:日本・中国・台湾・インド・インドネシア・モンゴル・タイ・ミャンマー・バングラデシュ、アフリカ地域:エジプト)
午前の部では、地下鉄駅入口と都市環境の関係性やTOD(Transit Oriented Development)が都市空間にもたらす影響など都市化への対応策に関する研究、都市の15分生活圏に着目した高齢者のための施設配置に関する研究など成熟社会を見据えた研究などが発表されました。
午後の部では、長浜市のまちづくり会社の仕組みをミャンマーの歴史地区の再生に適用する方法の検討や、タイのスマートシティの都市開発状況と課題、COVID-19パンデミックを踏まえた住宅開発の現況、ヘルシーシティの実現に向けた多様な機関の役割についての発表が行われました。
全体を通して、グローバルな視点から具体的な地域事例を交えて、持続可能な都市・地域開発や社会的および経済的要因の相互作用について議論が行われ、有意義な研究発表会となりました。
そして、本年度は、研究発表後にラウンドテーブルセッションが設けられ、九州大学の蕭耕偉郎氏をモデレーターとして、福島茂氏、城所哲夫氏、明星大学の西浦定継氏、東京大学の瀬田史彦氏を迎えてディスカッションが行われました。本セッションでは、はじめに名城大学の福島茂氏より、アジア地域の将来人口推計を踏まえた都市計画の対応をテーマに、アジア地域の今後の都市・地域のあり方について話題提供がなされました。その後、成熟社会を迎える日本の経験を踏まえて、グローバルサウスの国々においても人口減少社会への移行を見据えた都市計画手法の検討の必要性が議論されました。
最後に、豊橋技術科学大学の小野悠氏より、国境を越えた多様な研究成果を振り返り、日本と世界の都市計画を広い視野で捉え、議論を深めていくことへの期待で締めくくられました。
次回2024年度の第20回研究発表会は、岡山大学にて対面とオンラインのハイブリッド形式での開催を予定しています。
研究会の動画はこちら
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